三井化学は、2030年のモビリティソリューション事業のコア営業利益(営業利益から一時的な損益を差し引いた利益)で930億円の達成を目指す。従来目標である800億円強から引き上げる。ポリプロピレン(PP)コンパウンドなどの複合材料では、環境対応製品や電気自動車(EV)向けなどで付加価値を付けて提供していく。エラストマー事業では、成形性や耐熱性に優れた次世代品を開発し、新しいプラントの設置も検討する。需要増が見込まれる領域に集中して投資することで、事業利益を積み上げる狙いだ。
10日に開いた事業戦略説明会で方針を示した。モビリティソリューション事業では、ポートフォリオの転換などを進め、30年までの長期目標「VISION2030」内で示したコア営業利益目標を引き上げる。
エラストマー事業では、中国市場向け封止材の需要が落ち込んでいる状況を受け、新興国向けなど供給先の多様化を進める。併せて30年以降の量産を予定する次世代エラストマーの開発も進めており、新しいプラントの設置も検討する。PPコンパウンドでは、廃プラスチック由来の材料を含んだリサイクル材PPコンパウンドや、着色技術を応用した塗装レス材の推進、EVの電池周りなどで採用を見込む繊維強化PPコンパウンドに力を入れる。
MaaS(サービスとしてのモビリティ)向け車両などのデザインから量産までを一気通貫で担うソリューション事業の確立に向け、他社との協業も加速する。
小守谷敦常務モビリティソリューション事業本部長は「当社の強みを発揮できる領域に注力する」とし、成長領域を絞って取り組む考えだ。