マツダは、国内販売の立て直しを急ぐ。年間20万台規模の販売を目標とする事業強化策を19日に発表した。需要が堅調な10都市を「重点市場」と位置付けて販売を強化するほか、全国300店舗の「重点店舗」で店舗当たり年間400台の販売を目指す。「ブランド価値経営」を店舗レベルに浸透させることで足場を固め、母国で再成長を狙う。
4つの重点施策で構造改革に取り組む。中心になるのが販売網の見直しだ。東京都や大阪府など、堅調な需要が見込める全国10都市を重点市場とし「新世代店舗」の展開に力を入れる。27年度までの3年間で20店舗を整備する計画だ。
さらに、販売を強化する「重点店舗」も現在の約250店から300店へと増やし、1店舗当たりの400台の年間販売を目指す。
マーケティング施策も投資と位置付け、ブランド価値の発信を強化する。車両の購入を検討していない層にも情報発信し、潜在顧客を増やしていく。2月にオープンしたブランド発信拠点、マツダトランスアオヤマ(東京都港区)では、マツダ車ユーザー以外や女性の来場者が過半数を超えるなど、手応えを感じているという。
販売店への教育体制や評価制度も刷新する。店舗スタッフにブランドと経営方針への理解を深める取り組みや、店舗での実践を支援する制度を展開する。1月に設立した新会社「マツダビジネスパートナー(東堂一義社長、東京都板橋区)」が販社の間接業務を一手に担い、店舗側が顧客サービスに専念できる体制も整える。
マツダの国内販売は近年、成長投資の抑制や全国共通の戦略の未実施、現場支援が不十分といった課題があった。4月に着任した三浦忠国内営業本部長は「米国の追加関税など、さまざまな情勢を考慮すると、国内事業の再成長を加速する必要がある。新世代店舗で快適に、マツダの世界観を感じてもらえるための投資をしっかりやっていく」と語った。