自動車ディーラーでは、開店時間と同時に多くのお客さまが来店します。そのお客さま対応に追われながらも事務所内では電話が鳴り響いているのが日常です。

こうした中で、若手社員の多くが「常に時間に追われている」「忙しさに追われ、落ち着いて業務を習う時間がない」と悩みを抱えています。どうにかしなければと思いながらも解決策が見当たらず、日々の仕事をこなしているのが現状です。

では、なぜこのような事態が起きてしまうのでしょうか。「若者の発信力」と「職場の環境」がこうした問題を招いているかもしれないです。

上司に怒られそう…

若手社員の悩み相談を受けると「上司に何度も同じことを聞いたら怒られるかも…」「自分の意見を言うなんて生意気に思われるかも…」と考える人が多いです。いわゆる「自身の思い」を発信できない若者が多いようです。そして気が付けば、上司からの急な頼まれ事などを含め、いくつもの仕事を抱え「今日も残業かぁ」と悩みは積もるばかり。

その解決の糸口として「心理的安全性」という言葉があります。職場内でコミュニケーションを考えたときに重要な言葉です。心理的安全性とは、組織の中で自分の意見や気持ちを安心して発信できる環境のことです。心理的安全性が確保できれば、社員一人ひとりのパフォーマンスが高まり、団結力も上がります。

さらに、若者から革新的で独創性があふれるアイデアを得られるかもしれません。実際に若者の意見を多く取り入れ、飛躍的に成長した企業もたくさんあります。SNS(会員制交流サイト)を使った企業アピールがいい例です。おじさん達よりも若者の方がSNSの使い方に長けています。

勇気を持って発信

心理的安全性の環境を整えるためには、まず率先してリーダーが話し合いの場を設けるようにしなければなりません。誰でも安心して発言できる場を。そして、若者も勇気を持って自分自身の意見を発信することをお勧めします。

「今、自分は時間に追われている」と感じている若者は、自身の意見を周りにきちんと発信できているのか、もう一度振り返ってみてはいかがでしょうか。待っていても環境は変わりません。むしろ黙っていることで状況を悪化させてしまう可能性すらあります。

発信することが、あなたの環境を劇的に変えるかも知れません。

 

文:株式会社プログレス 江原忠宏

〈プロフィル〉えはら・ただひろ 2006年東海大学電子情報学部卒、同年国産ディーラー入社。営業職、店長を務めるも、17年5月輸入車ディーラーに転職。入社2年目に係長昇進、3年連続で販売優秀者表彰。その後人材育成にやりがいを見出し、2020年プログレス入社。「人材を『人財』に」をテーマに活動中。静岡県出身、41歳。