重量のある車載電池を積んだ上で航続距離を延ばす必要がある電気自動車(EV)などの電動車。車両のあらゆる構成部材で軽量化に寄与する素材の活用が検討されている。各社の研究開発も活発している。

 特に軽量化で注目されているアルミや樹脂といった素材の活用は盛んだ。一般的にアルミは鉄の3分の1の重さで済み、アルミよりもさらに軽量な樹脂は、振動吸収効果などさまざまな付加価値を加えることもできるからだ。こうした素材を自動車部品へ活用しようと、他社と協力して開発する動きが目立つ。

 巴川製紙所は植物由来のセルロース繊維を高配合した樹脂「グリーンチップCMF」を開発し、国内の自動車メーカーや部品メーカーが同社のセルロース樹脂を使って自動車部品などを試作している。巴川製紙所が開発した樹脂はポリプロピレンと比較しても、強度や耐熱性を向上できる上、成形品の厚みを薄くすることも可能で、軽量化にも寄与するとみられる。

 アルミの活用ではアーレスティとジーテクトがアルミダイカスト技術を取り入れた製品を共同開発し、量産化を目指す。アーレスティのアルミダイカスト技術をジーテクトが製造する車体部品に取り入れ、電動車の軽量化などにつなげる考えだ。また、カナダの自動車部品メーカー、マーティンレアインターナショナルとの提携を発表したオイルポンプなどを手がける山田製作所(佐藤賢社長、群馬県伊勢崎市)は、EVなど向けに大型アルミ鋳造を利用したボディーやシャシーの軽量化に寄与する部品を開発し、自動車メーカーへの提案を検討する。

 今後もグローバルで電動車の普及が予想される中、各社はタッグを組みながら軽量化につながる素材を活用した自動車部品の開発を加速する。