トヨタ自動車は27日、先進技術開発などを担う「ウーブン・バイ・トヨタ」を10月にも完全子会社化すると発表した。豊田章男会長の持ち株をトヨタが買い取る。車載基本ソフト(OS)「アリーン」が実装段階に入り、ソフトとハードの融合を実現する体制へ移行する。

 ウーブンは、車載OSをはじめ自動運転技術や実証都市「ウーブンシティ」などの開発を担ってきた。これまでは「『0』から『1』を作るような、トヨタができないステージ」(トヨタ首脳)を担当していたが、アリーンは2025年、ウーブンシティも同年に一部実証開始と実装段階に入りつつある。

 ウーブン・バイ・トヨタはすでに今年4月、従来の自主開発体制からトヨタから開発を委託される体制へと移行していた。10月1日付でウーブンの先行開発を先導したジェームス・カフナーCEO(最高経営責任者)が退任し、新たにデンソー出身の隈部肇氏がCEOに就くことも発表済みだ。

 ウーブンには豊田章男会長が個人として50億円を出資している。以前はデンソーやアイシンも出資していたが、ウーブン・バイ・トヨタに社名変更するタイミングで出資を引き揚げ、現時点の株式比率はトヨタが95%、豊田会長が5%だ。トヨタ首脳は今回、豊田会長の5%分をトヨタが買い取ることについて「トヨタとウーブンが委託、受託関係になると利益相反関係になる」と説明した。