マツダは9月14日、発電専用ロータリーエンジン(RE)を搭載するプラグインハイブリッド車(PHV)「MX-30 Rotary-EV」の販売予約を同日から開始すると発表した。モーターで駆動するシリーズ式プラグインハイブリッドシステムを採用した。電気自動車(EV)モードで走行可能な距離は、107km(WLTCモード)を確保。国内で販売する日本メーカーのPHVではトップとなる。マツダの象徴でもあるREを11年ぶりに復活する。

MX-30のPHVには、新たに開発した「8C」型エンジンを搭載する。排気量は830ccで、「RX-8」に搭載していた「13B」は2ローターだったが、シングルローター方式を採用した。発電用のREと、最高出力125kWを発生するモーターを同軸上に配置した。バッテリー容量17.8kW時のリチウムイオン電池を搭載し、50リットルの燃料タンクを組み合わせた。EVモードでの航続距離を含めたトータル航続距離を約800kmとした。

REを量産化した唯一の自動車メーカーであるマツダは、1961年にREの開発をスタートし、67年に発売した「コスモスポーツ」で世界で初めて実用化した。排出ガス規制などにより何度も存続の危機に直面し、2012年のRX-8の生産終了に伴い、いったん姿を消した。

開発責任者の上藤和佳子主査は「ロータリーエンジンは『飽くなき挑戦』を象徴するエンジン。この車にはこのエンジンの技術を絶やさない思いでやってきた。たくさんの『挑戦』や『希望』がつまっている」と話す。発電用ではあるが、念願かなって復活に漕ぎ付けた。

PHVの価格は、423万5000円から491万7000円(消費税込み)。国内の販売計画は、MX-30全体で月販1000台。このうちPHVが300台となる。納車は11月以降を予定する。