樹脂部品で強みを持つ八千代工業(写真は樹脂バックドアモジュール)

ホンダは7月3日、連結子会社の八千代工業の株式をインドの自動車部品大手マザーサンの子会社に売却すると発表した。10月に株式公開買い付け(TOB)を開始し、八千代の株式の81.0%をマザーサン子会社で樹脂部品に強いSMRCオートモーティブホールディングス(HD)が取得するとともに、残りの19%をホンダが保有する。電動化などで八千代が主力とする燃料タンク事業が先細りする中、ホンダは八千代の成長事業である樹脂部品でのシナジーが見込める再編を取り持つことで、事業存続や成長につなげる狙いだ。

ホンダは現在、八千代株を50.4%保有する。10月の開始を予定するTOBで一旦、八千代を完全子会社化した後、81.0%をSMRCオートモーティブHDに売却する。TOBの買い付け価格は、提案日前日の終値に26.8%のプレミアムを上積みした1株あたり1390円で、総額は約165億円となる。

SMRCオートモーティブHDはオランダにある樹脂部品メーカー。欧州やインドなどの自動車メーカーとの取引が多い。日本や米国、中国などでの事業基盤がある八千代と樹脂部品でのシナジーを見出す。

一方、八千代の二輪車関連事業はホンダが引き継ぐ。今回のTOBでは、八千代が52.4%出資する二輪車用部品を手がける合志技研工業の株式はホンダが取得する。取引が完了すれば、ホンダが現在保有する42.6%と合わせて95%を保有することになる。残りの5%はこれまで通り三恵技研工業が保有する。

八千代の2023年3月期の業績は、売上高が前年同期比14.6%増の1882億円、営業利益が同4%増の109億円、純利益が同17.6%増の75億円。ホンダは18年4月に軽自動車を生産していた八千代の四日市製作所(現ホンダオートボディー)の事業を取得している。