武内寛和常務取締役

 小田安全硝子(山田昭二郎社長)は、兵庫県と大阪府で自動車ガラスの販売や脱着作業などを展開する自動車ガラスに特化した事業者だ。兵庫県内に10拠点と大阪府内に4拠点を展開し、ガラス交換など年間で平均2万4千件の施工を行う。

 2020年4月に施行された特定整備制度で、先進運転支援システム搭載車のエーミング作業を行う際に不可欠な電子制御装置整備認証が導入された。これをきっかけに、受託先ニーズへの対応力強化につなげるべく同社においても各拠点の体制を整え始めた。

 20年から認証取得をスタートし、22年12月末現在、13拠点でエーミング作業ができる体制を作った。これだけの短期間でほぼすべての営業所で作業ができるようになったが、これまでさまざまな苦難も。認証取得に向け、従業員に関する基準を満たすために、日々の作業スケジュールをこなしながらも国が定める講習会を受講する必要があった。岸本晃尚営業マネージャーは「対象工場では緻密な予定調整などが必要だった」と人員の調整での苦労あったことを漏らす。そのほかにも、各メーカーに応じた機材を揃えることや、大阪営業所では床面をコンクリートに打ち替えるなど「大掛かりな対応も必要だった」(武内寛和常務取締役)と振り返った。エーミング作業に必須の平滑な床面だが「従業員が作業場をきれいに使うようになった」(同)など副次的な効果もあった。

 同社において、エーミングを伴う作業実績は初年度で2千台、21年度は3300台と年々増加し、22年度では5千台と初年度からは2・5倍にまで拡大した。直近の4、5月は平均600台と、これも前年実績を上回っている。今夏には全14拠点で特定整備制度に対応する見通しだ。

 来年4月からは制度の本格運用がスタートする予定だが、22年度末までに認証を取得した事業場数は全数の5割にとどまっているのが現状。同社のように、全拠点でエーミング作業を実施できる体制を整えることは、入庫車両の受け入れ間口を広げ、売上げの伸長につながる。国産、輸入車、大型車など「車種を問わず(エーミングを含む)トータルなサービスを提供していきたい」(岸本営業マネージャー)と意気込みを示した。

〈受賞者コメント〉武内寛和常務取締役

 特定整備制度はわれわれガラス修理事業者にとってチャンスが来たと捉えている。また、認証を取得する中で、われわれの業種が国に認められてきたのではないかと思う。今後もただのガラス修理ではなく、自動車ガラス整備士、自動車ガラス整備工場と自分たちを認識し、社員一人ひとりのスキルアップに努める。

(町 勇樹)