「企業として誠実であること。会社が継続し続けること」を信念に
河田憲一郎社長

 「企業として誠実であること。会社が継続し続けること」を信念に企業経営を行っている、うしぶせ自動車(河田憲一郎社長、静岡県沼津市)は、アウディやフォルクスワーゲンなどを中心に、ドイツ車のトランスミッション修理に特化した整備工場を展開している。

 創業は1970年。2004年に先代の父親の後を継いだ。「元々は車検を主に行っていたが、車検ビジネスは競合も多かった」と、顧客の取り合いで、価格勝負という面もあり、利益率が下がっていた。そんな時に親戚のAT車が壊れて廃車になった。調べてみると海外では、トランスミッション専門の修理工場があるのに、日本では修理できる工場が少ないことが分かった。そこからトランスミッションの修理に興味を持った。トランスミッションの勉強のため、英国をはじめ海外の展示会やセミナーに積極的に参加、知識を高めるとともに海外の部品商などとのパイプを構築していった。

 トランスミッションの故障は、本体ごと交換の場合が多く、見積もり金額が高額になる。壊れた部分の部品をドイツや英国など、海外から直接仕入れることで、トランスミッションを低価格で修理することを可能とした。さらに、故障が多い部品を常に在庫し、短納期で修理を行い納車することができるようになったことも大きい。場合によっては、日帰り修理も可能だ。

 そうした努力が評判となり今では、自社独自のVAGトランスミッション研究開発を行うと同時に、ウェブデザインも研究して、ホームページを活用して集客を行うことで全国から顧客が訪れるようになった。また個人客だけでなく、中古車販売店、他の整備工場からの多くの問い合わせや入庫がある。

 経営に関しては、戦略マネージメントゲームというものを、当時のコンサルティング会社から教わった。実際に行ううちに、考え方は大きく変わった。「最初は何回やっても会社を倒産させてしまった」と経営の難しさを知り、経営バランスなどをトータルで考えられるようになった。それが実際の経営にも役立ち、今では大きな収益につながっている。集客のシステムや従業員の働き方も改善した。定時で帰宅できるようしたことで定着率は向上。従業員の給料アップやスキルアップを図っていくと同時に顧客満足を高めることにも注力した。今年度はメンタルヘルス研修や戦略マネージメントゲームを通じて企業としてのさらなる地盤固めを進めていく。

〈受賞者コメント〉河田憲一郎社長

 多くの人に感謝していることはもちろん、陰で支えてくれる妻のおかげだと思っている。企業としての知名度は高まって来たため、これからもトランスミッション修理を中心に、時代に合わせて発生する自動車のトラブルに対応していきたい。

(藤崎 修)