地域活性化に向けた足掛かりにもつなげていく
関工場長(左)と関真琴さん

 日刊自動車新聞社は、「第2回整備事業者アワード2023」の受賞事業者10社を発表した。同アワードは、自動車整備を取り巻く環境が著しく変化する中、今後の整備市場活性化に向けて手本となる取り組みに光を当てるのが狙い。受賞各社の取り組みを10回の連載企画でリポートする。

 

 関モータース(関力社長、長野県諏訪市)は、車検・点検、車販などを中心に手掛ける。コロナ禍では入庫・売上高ともに減少したが、増収策を模索する中で、レンタカー事業や三輪トラック「ミゼット」のレストア、オートキャンプ場開設などの検討に乗り出した。

 レンタカー事業「諏訪レンタカー」を統括する関文隆工場長は「観光資源が豊富なこのエリアに、多くの観光客が訪れるきっかけづくりをしたい」と思いを語る。諏訪湖や諏訪大社など観光の起点にもなる上諏訪駅周辺には大手レンタカー会社がなく、レンタカーの利用を希望する観光客の多くは茅野駅周辺などで借りる必要があった。関工場長は「とにかく安く借りたい人やスポーツカーに乗りたいと考える人など、あらゆる人がいる。すべてに対応することは難しいが、できる限りニーズに応えたい」と考え、上諏訪駅近隣でのレンタカーの貸し出しと返却を開始した。

 同事業は長野県諏訪市における「令和4年度コレパクト@SUWA(産業連携事業補助金)」の採択を受けて実施。飲食業や宿泊業とも連携し、観光客が諏訪市内に滞在する時間を増やし、地域の活性化にもつなげている。営業を担う関真琴さんは「市内には車でなければ行けないお店も多い。個人経営の飲食店やホテルなど、協力してくれるところも少しずつ増えてきた」という。ただ、諏訪レンタカーの認知や理解が進んでいない部分もあり、苦労は少なくない。関工場長は「0・1の協力で良い。パンフレットを置いてもらうなど、少しずつ認知していただき、地元を盛り上げるきっかけにしたい」と話す。

 同事業のスタートをきっかけに、諏訪市や地元信金、地域おこし協力隊、諏訪レンタカーのロゴ作成に協力した長野県諏訪実業高校の美術部など地域連携は加速している。同社では「自分たちのように地域課題を抱えている自治体はたくさんあるはず」とし、今後は事例の共有や連携なども模索していきたいとの考えも示す。また、地元の同業他社との連携や新たな盛り上げ策なども含め、地域の活性化につなげていく考えだ。

〈受賞者コメント〉関文隆工場長

 スタートして改めて気づいたことや足りない部分も分かった。ただ、これは始めてみなければ分からなかったこと。今回の受賞は一歩を踏み出したからこそいただけたもので、自信につながった。そして受賞したことで業界の方々に知っていただくことができた。多くの協力してくれた方々にも恩返しをしていきたい。

(太田 千恵)