同業の4社が結束して問題に取り組んだ
松村真也社長

 RSネットワーク(松村真也社長、三重県四日市市)は、三重県内のロードサービス会社4社が出資して2021年4月に誕生した企業。従来、別々で行っていた夜間(午後8時から翌日午前8時)のロードサービスを新会社に一本化することでスタッフの労務軽減と経費の削減に大きく貢献している。

 新会社に参画した企業は、サービスネット(松村真也社長)、黒田モーター商会(黒田誉喜社長)、KJサービス(加藤久佳社長)、鈴鹿自動車工業(金子隆一社長)の4社。新会社設立前、4社合わせた月間のロードサービス件数は1千件強だが、このうち夜間は約100件となっていた。

 取り組みのきっかけは、この約100件のために4社で計5人のスタッフが夜間に常駐して出勤に備えていたこと。1日当たり3件ほどの出勤で4社が同じ態勢をとることは労務面、経費面でむだが多かったからだ。サービスネットが、同社も加盟する全日本ロータス同友会、BSサミット事業協同組合の加盟店である3社に声を掛け、同じ悩みを抱えていた同士が協力し合うことになった。

 新会社は三重県の北勢と中勢部がエリア。協力し合うことで常駐スタッフは従来の各社合計5人から2人へ大幅に削減となった。

 昼間は従来通り各社が独自に業務を行い、夜間は窓口をRSネットワークに一本化して結束するというスタイルだ。

 21年6月から新会社の業務を開始。夜間件数は設立前の各社合計より初年度は35%増加し、22年度は6月に鈴鹿市に営業拠点を新設したこともあって、設立前より59%増加する結果となった。別々で行っていたときは地域やタイミングの問題で他社へ流れていたものが、一元化したことで取り込めたものとみられている。

 また、夜間の減った人員を昼間に移すことができ、労務、経費、業務の面で大きく貢献した。

 昼間は競争相手でもある業者同士が、悩みを解決するために結束し、予想以上の成果を上げたというわけだ。

〈受賞者コメント〉松村真也社長

 今回、われわれ4社の取り組みが評価されたことは、大変光栄であり名誉だと思っている。昼間はロードサービス会社の良きライバルとして切磋琢磨して、夜間はさらなる連携を強化して、これまで以上の品質の向上とサービスの向上に努めていくつもりだ。今回、評価されたことによって、他の業種においても同業者が連携する形で、お互いがプラスになるような取り組みが実現できればいいと感じている。

(南 和彦)