事務所の一角にある配布品の保管場所
佐野秀輔社長

 ボデーショップ佐野(佐野秀輔社長、埼玉県新座市)は、整備事業者アワード2023で社会貢献領域の地域貢献賞を受賞した。佐野社長は、自身の育児の大変さをきっかけに、地域社会で子育てを支援できる環境を創り、大変な思いをする人の助けになりたいという思いから、「こども食堂」を立ち上げた。

 コロナ禍で食堂の開催が厳しい状況になってからは、子育て世代、特にシングルマザーや同ファザーへの支援を強化し、自社の事務所の一角を活用した「お弁当配布」を中心としたフードパントリー(物資配布)に切り替え、地域支援活動を継続してきた。

 同社での活動は、近隣の住民や顧客らからも好評で、活動に参加したいという有志が3年ほどの間に約20人加わった。その後22年に、NPO法人オハナプロジェクトを立ち上げ、子ども食堂やフードパントリーを同法人に移行した後も、ボデーショップ佐野では事務所の一角を、食料品や日用品の寄付などを受け入れる「配布品の保管場所」として、提供し続けている。

 また、子ども向けのチャリティーイベント開催時などには、工場の一角をイベント会場として提供するなど、立ち位置が変わってからも持続可能なむりのない支援を継続している。

 佐野社長は、「地域貢献活動の場所を提供するだけで、そこに集まる人たちの交流が生まれ、本業の整備事業や板金塗装事業の新たな顧客や潜在顧客を創出する結果につながっている。また、地域住民から整備、板金塗装の工場への認知が高まり、雇用も生まれるなど、地域とのつながりが強くなった」などと語る。

 今後の展望について佐野社長は、「技能実習生の寮として使っている住宅を活用し、フリースクールの場の提供をはじめ、他の地域のボランティア団体や同じ志の活動家らと協力し、支援の輪を広げてていきたい」などと述べた。

〈受賞者コメント〉佐野秀輔社長

 今回の受賞は、活動のきっかけとなった妻と娘、従業員一同の理解と協力があったおかげ。コロナ禍に始めたお弁当配布が、地域の育児支援につながった。自動車修理もまた事業活動そのものが社会や生活インフラを支える地域貢献事業となる。環境の違う他の自動車整備・修理事業者でも、志の近い人たちと連携すれば、全て自身でやらなくても活動できる。問題意識を持って、手を伸ばせる範囲で地域貢献にトライする人が増えればうれしい。