使用済みタイヤを熱分解して原材料に戻す研究を進める

 ブリヂストンは17日、タイヤの水平リサイクルの実現に取り組み、2050年までに使用済みタイヤ計60万㌧をタイヤや化学品などに再利用する方針を発表した。これにより合計146万㌧の二酸化炭素(CO2)排出削減を目指す。また、タイヤの熱分解技術の確立に向け、石油元売りのENEOS(エネオス)と共同で実証プラントを建設するなど他社と共同してリサイクル技術の確立を目指し、将来的に資源循環システムの事業化を目指す。

 現在、国内では9割以上の使用済みタイヤが回収されているが、タイヤはゴムや鋼材、補強繊維などさまざまな原料の複合材で再利用が難しく、6割以上がCO2排出につながるセメントや製紙工場などの燃料となっている。そのため同社は、使用済みタイヤから合成ゴムやカーボンブラック、ブタジエンといった化学品の素原料に戻す水平リサイクルの実現に向け、4月に「エバータイヤ・イニシアチブ」活動をスタートさせた。

 国内では新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金の支援を受け、エネオスとともにタイヤの熱分解技術を研究し、合成ゴムの原料であるブタジエンや再生カーボンブラックを高収率に製造する技術の確立に取り組む。両社は24~26年に実証プラントを建設し、30年までに最大10万㌧規模のプラントまで拡大させ、早期の事業化を目指す。また、両社と日揮ホールディングス、東北大学、産業技術総合研究所の5者で、使用済みタイヤを低温分解して液体ポリマーを作り、合成ゴムの原料や高品質の再生カーボンブラックとしてリサイクルする技術の研究にも取り組む。

 米国では再生資源を手がけるランザテックとともに、発酵技術で使用済みタイヤからエタノールなどを製造、将来的に合成ゴムの原料であるブタジエンの製造に挑むとしている。

 ブリヂストンの大月正珠先端材料部門長は「タイヤとゴムは非常に複雑な材料。適切なリサイクル法を組み合わせ、水平リサイクルの技術を包括的に組み上げることが重要」と話し、他社と共同で循環経済の実現とリサイクルビジネスの確立に取り組む方針を示した。