ジヤトコは、湿式クラッチの摩耗性と耐久性を向上する表面加工技術を開発したと発表した。クラッチのスチールプレート表面に排油性能を高める特殊加工を施すもので、2種類の生物がもつ機能からヒントを得て開発したという。主力製品のCVT(無段変速機)や、開発中の駆動用モーターシステム「eアクスル」で、2020年代半ばの実用化を目指す。

 開発した表面加工技術は、「バイオミメティクス」と呼ばれる生物模倣技術を活用した。

 カエルとキリギリスの足に共通する六角形の形状を、スチールプレート表面に加工を施す。六角形模様に沿ってできた微細な凹部にオイルが入り込み流動することで、摩擦材を貼り合わせたフェーシングプレートとの摩擦環境を改善する効果がある。これによって低温時の伝達安定性やクラッチの耐久性向上に成功した。耐久性は未加工品と比べ70%程度向上する。

 この技術はトランスミッションのエネルギー伝達効率を高めて冷却効果が得られるため、例えば電気自動車(EV)に採用した場合、電費向上に寄与するという。

 表面はプレス加工する。20年代半ばの量産に向けて、マイクロプレス技術をもつ特殊発條興業と量産技術を共同で開発する。