充電器の設置は初期投資と維持費が課題

 政府は50年のカーボンニュートラル実現に向けたグリーン成長戦略で30年までに急速充電器を国内に3万基にする目標を掲げた。現在の8千基の3倍以上に増やす規模だ。21年度補正予算では3口以上の充電器を対象とした補助枠の新設や50㌔㍗以上の急速充電器に必要となる高圧受電設備用補助金を増額するなど内容を手厚くし、インフラ面でEVの普及を後押しする。

 ただ、急速充電器は初期投資と維持コストが求められるため、単に補助金を支給するだけで民間企業の投資を促すのは難しい。EV時代を想定した充電器に関する規制緩和なども求められる。

 都市部では、充電器の設置場所が限られる。充電サービスを手がけるeモビリティパワーはビルやマンションの敷地にあるオープンスペース「公開空地」の活用を視野に入れるものの、現行制度では規制でそれが許されない。また、使用容量あたりの料金体系の導入、ガソリンスタンドへの設置ハードルを下げるための法改正を求める民間事業者も少なくない。

 日産自動車の初代「リーフ」の国内販売に合わせて約10年前に整備された急速充電網は更新時期を迎え、今後、整備の〝第2フェーズ〟に入る。第1フェーズではEVの普及に一定の役割を果たしたが、稼働率にばらつきがあり、設置事業者の収益確保の課題も浮き彫りとなった。EVの本格普及を見越して持続可能で利便性の高い充電網の再構築が求められる。