日産自動車は9日、2022年3月期通期の営業利益見通しを前回予想よりも300億円増の1800億円に上方修正したと発表した。半導体供給不足などの影響でグローバルの販売計画は前回よりも60万台少ない380万台に修正したが、販売費用や固定費の減少で損益分岐点を前年同期と比べて15%改善し、利益を上積みできる見通しになった。

 21年4~9月期の営業利益は1391億円(前年は1587億円の損失)と2年ぶりに黒字に転換した。原材料価格の高騰が398億円分の減益要因となったものの、奨励金の抑制など販売の質の向上やものづくり関連の効率化を推進し、収益性を改善した。

 特に2630億円分の増益要因となった販売の質向上の効果は大きい。自動車の需給バランスがタイトになったことに加え、新車投入の積極化によって販売奨励金が縮小。台当たり売上高は11%向上した。販売金融事業も貸し倒れ損失が低くなったことで想定以上の収益を生み、全体の業績を押し上げた。

 4~9月期に進めてきた販売・ものづくりのパフォーマンス向上を踏まえ、通期の業績予想を上方修正した。前回見通しに対してパフォーマンスの向上で200億円、円安による為替差益などで100億円分の増益効果を見込む。

 4~9月期の販売台数は前年同期比17・8%増の200万2千台だった。コロナ禍からの回復で前年同期の水準は上回ったものの、部品不足による生産の遅延で7~9月期に限ると同9・6%減の95万4千台と伸び悩んでおり、通期の販売計画をコロナ禍が深刻化した20年度を下回る水準に引き下げた。

 販売が落ち込むなかでも収益改善の効果で通期の営業利益率は2・0%になる見通し。アシュワニ・グプタ最高執行責任者は「23年度までの中計で目標にしている営業利益率5%の達成に向けて順調に進んでいる」と収益改善に向けた取り組みの進捗を自己評価した。