トヨタ自動車は4日、2021年4~9月期の連結業績(国際会計基準)を発表した。部品サプライヤーや販売店と一体で減産や在庫不足の影響を抑え込み、連結販売台数を前期より3割増やした結果、売上高(営業収益)、各利益とも過去最高を更新。円安を主な理由に通期業績予想も上方修正した。ただ、近健太取締役は「円安影響を除けば実質下方修正だ。コロナ禍で得た学びを定着させるため、気を引き締めて取り組む」と語った。

 4~9月期の連結販売台数は409万4千台(前年同期比32・7%増)。新型車効果のほか、生産計画をきめ細かく見直してサプライチェーン(供給網)をつないだり、在庫車を販社間で融通したりして販売機会の損失回避に努めた。電動車比率は27・7%と、原油高も追い風に前年同期から5ポイント上昇した。

 売上高は15兆4812億円(同36・1%増)、営業利益は同約3・4倍の1兆7474億円で、営業利益率は11・3%だった。利益面では増販や車種構成比の改善効果が7200億円と大きく、為替変動(2550億円)や金融事業の採算改善効果(1千億円)も出た。

 一方で原価低減は原材料高騰に相殺され、300億円の減益要因に。近取締役は「下期は前半期よりやや影響が大きくなっており、地道な取り組みや新車以外のバリューチェーンで収益改善を進める」と語った。

 通期は連結販売台数を前回見通しから15万台減らして855万台(前期比11・8%増)とする一方、営業利益を3千億円積み増して2兆8千億円とした。円安や金融収支の改善効果が5千億円出るが、原価低減が原材料高に追いつかず、このうちの2100億円が相殺される。売上高予想(30兆円)は変えなかった。

 トヨタは12月以降、挽回生産を計画する。近取締役は「ゼロではないが、リスクは相当、小さくなっている。過去と比べると、相当高いレベルまで生産が回復するのは間違いない」と語った。