トヨタ自動車は10月18日、車載用電池生産のため今後10年間で約3800億円を米国に投資すると発表した。リチウムイオン電池の新工場を建設し、2025年から稼働させる。同社は電池の開発や生産に向こう10年間で約1兆5000億円(用地・建物の費用をのぞく)をグローバルで投資する方針を表明済み。今回の米国投資はこの一環となる。
トヨタの北米事業体であるトヨタ・モーター・ノースアメリカ(TMNA)が90%、豊田通商が10%を出資して新会社を米国で設立し、工場を25年から稼働させる。資本金や工場の立地、事業構造や生産能力などは改めて公表する。まずはハイブリッド車(HV)用のリチウムイオン電池を生産するが、電気自動車(EV)用の生産も視野に入れている。新工場プロジェクトだけで31年までに約1430億円(用地・建物の費用を含む)を投資し、1750人の新規雇用を見込んでいる。
トヨタは、電動車に使う蓄電池を世界各地で最適生産する方針を掲げている。電池子会社のほか、中国のCATLやBYD、日本の東芝、GSユアサなどとの協業も進めているが、同社にとって重要市場である米国ではこうした協業先と合弁を組まず、単独で生産することにした。トヨタ主導で電池のサプライチェーン(供給網)を整え、新規雇用の創出や生産技術の“手の内化”を進める狙いがあるとみられる。
トヨタは、電動車のラインアップを現在の55車種から25年までに15車種のEVを含む約70車種へと増やす計画を持つ。米国を皮切りに、今後も世界各地で電池の生産体制を整える方針だ。