Luupの電動キックボード

 海外で利用者が増えている電動キックボードシェアリングの普及に向けた動きが日本でも本格化している。経済産業省は23日、電動キックボードの公道走行時にヘルメットの着用を任意とする特例制度をスタート。東京都や福岡県などの4事業者が計画する実証実験を認可した。既存の乗り物だけでは補いきれなかった自動車や公共交通のすき間を埋める新たなモビリティサービスとして、安全を担保する新たなルールづくりに向けた取り組みが始まった。

 経済産業省の認可は産業競争力強化法に基づく「新事業特例制度」。事業計画が認められると、道路交通法で電動機付き自転車として運用する電動キックボードを小型特殊自動車として運行することが可能になる。今回は、Luup(ループ、岡井大輝社長兼CEO、東京都渋谷区)、モビーライド(日向諒社長、福岡市)、エックス(青木大和代表取締役)、長谷川工業(長谷川泰正社長、大阪市西区)の4事業者の事業計画を認定した。

 23日に都内で開かれたループのメディア向け発表会では、公道を“ノーヘル”で走行する姿を披露。同社は、20年9月に提供を開始した電動アシスト自転車シェアに組み込む形で電動キックボードシェアを立ち上げた。立ち上がりは渋谷、新宿、品川、世田谷、港、目黒の6区にある200ポートに100台を配備。立ち乗りのため服装を気にせずに利用できるメリットなどを訴求し、通勤通学など短距離移動の需要を取り込みたい考え。夏頃には大阪にもエリアを広げる計画だ。

 今後は、実証実験の結果に基づき、安全に普及させるための環境づくりが進む見通し。23日の発表会に訪れた経済産業省の菊川人吾製造産業局総務課長は「安全性を確保し、社会全体が受け入れられる環境づくりが欠かせない」と強調。日本の道路環境を踏まえたルールづくりや社会受容性を高めていく必要があると指摘した。