コロナ禍で他者との接触を嫌う人の増加が運転者減少に影響

 東京タクシーセンターは、特別区武三地区(23区と武蔵野市、三鷹市)の2020年度の法人タクシー運転者(運転者証交付者)数が前年比4469人減の5万3788人だったと発表した。減少数は過去10年間で最大。新たに運転者になるために必要な新規講習の修了者数は同1662人減の3430人にとどまり伸び悩んだ。同センターは、コロナ禍で他者との接触を敬遠する人が増加したことなどによって、深刻な運転者減につながったと見ている。

 運転者数は10年度以降減少が続いていたが、減少幅はほぼ数百人から1000人台で推移しており、4000人を超える減少は異例。19年度まで7年連続で増加していた女性運転者も減少した。

 また、20年度の運転者平均年齢(年度末時点)は58.1歳で、19年度から0.2歳上昇。19年度までは、大手を中心とした大学新卒者ら若年層の採用増により、統計が残る1991年度以降、初めて3年連続して平均年齢が下がった。しかし20年度は上昇に転じたことで、業界が目指してきた「運転者の若返り」が踊り場に入ることが懸念される。

 同センターの古橋仁総務部長は「コロナ禍で業界から退出する人が目立っている。新規講習の受講者も減っている。相対的に若年者の退出が多い」と述べ、運転者数の大きな減少および平均年齢上昇の理由に、コロナ禍での感染不安、収入減少を挙げた。

 個人タクシー運転者数(事業者乗務証交付数)は、現在同地区で新規許可が事実上停止されていることから長年減少が続いており、20年度は1万817人。平均年齢は統計が残る97年度以降初めて低下し、0.1歳若い64.1歳だった。