住友ゴム工業は9日、スーパーコンピューター「富岳」を活用して高度なタイヤ材料シミュレーションを確立すると発表した。タイヤ使用時のゴムの分子運動に加えて、化学変化まで表現できるゴム材料のシミュレーションの実現を目指す。

 同社はスパコン「京」の後継機で、世界最高レベルを達成した富岳の産業課利用枠に採択された。

 同社はタイヤの低燃費性能やグリップ性能、耐摩耗性能を向上するためのゴム材料開発技術「アドバンスド4Dナノデザイン」の確立を図っている。富岳を活用することで、分子の構造を考慮した分子運動に加えて、化学変化まで表現できるゴム材料のシミュレーションを実現し性能低下を抑制して新品時の性能を長く持続させる技術の開発につなげる。

 富岳は1秒間に約44京2010兆回の計算速度を持ち、ポリマー分子構造の運動性や分子の曲がりやすさなどを正確に表現することが可能になる。同社はこれまで、京の産業利用枠も活用して材料の分子・ナノレベルでの低燃費性能や摩耗性のシミュレーション技術の確立を図るなど、材料シミュレーションにスパコンを積極的に活用している。