日本製鉄は5日、2050年にカーボンニュートラルを実現する経営計画を発表した。現行の高炉を電炉に切り替えて自動車向け高級鋼などを製造するほか、水素還元技術を確立することでコークスの使用をなくすことを目指す。まず30年に13年比で二酸化炭素(CO2)を30%削減する。設備投資額は最大5兆円に上り、製造コストも倍以上になると見込むが、橋本英二社長は「経営の最重要課題として他国に先駆けて実現する」と話す。

 現行の高炉・転炉プロセスでは、1トンの鉄を製造するのに約2トンのCO2が発生する。カーボンニュートラル実現に向け、水素還元技術を持つ新高炉を導入するほか、大型電炉での高級鋼製造も行う。廃プラスチック活用の拡大など既存プロセスの低CO2化を進め、30年に13年度比3割減を目指す。新技術の研究開発費として5000億円規模の投資を見込む。

 鉄鋼業のCO2排出量は全製造業の約4割を占める。政府が推進する50年のカーボンニュートラルに対応するため、製造技術の革新に取り組む。

 また、同日開いた中期経営計画説明会では、国内製鉄事業の再編も発表。ハイカーボン薄板を製造する瀬戸内製作所阪神地区と関西製鉄所和歌山地区を24年までに休止する。また、現在15基ある国内高炉は10基まで減らす。