国内鉄鋼メーカー3社は、2021年3月期連結業績予想で売上高とすべての利益項目を上方修正した。日本製鉄は事業損益(国際会計基準)を黒字に転換したほか、JFEホールディングスと神戸製鋼所は、それぞれ事業損益(国際会計基準)と経常損益の赤字幅の改善を見込む。自動車生産台数の回復をはじめ、固定費の削減や変動費の改善を進めた効果が表れる。加えて、海外市場の回復に伴う輸出マージンも改善している。

 航空機や造船向けの鋼材需要で厳しい状態が続く中で、自動車生産台数の持ち直しで鉄鋼メーカーの業績が上向いている。神戸製鋼の予測では、21年3月期の日系自動車メーカーの生産台数(海外含む)は前年同期比10%減にとどまる。昨年11月に公表した予測に比べて5㌽の改善を見込む。自動車の回復は「前倒しで進んでいる」(神戸製鋼の勝川四志彦取締役)状況で、21年1~3月期だけでみると、前年並みとしてきた従来予測から同10%増の回復を見込む。

 日本製鉄は、事業損益で600億円の赤字から300億円の黒字への転換は見込む。黒字は2期ぶり。需要の回復に合わせ、改修していた高炉1基を昨年11月に火入れしたほか、バンキングで一時休止していた高炉2基を昨年11月と今年1月に再稼働した。これらにより、単独粗鋼生産量は従来予想から50万㌧増の3320万㌧程度の上振れを見込む。今後も「緊急対策による損益分岐点の引き下げを緩めることなく続ける」(日本製鉄の宮本勝弘副社長)ことで経営体質を強化する。

 JFEHDは、事業損益の赤字幅を900億円から320億円に、神戸製鋼所は経常損益の赤字幅を350億円から100億円にそれぞれ改善する見通し。単独粗鋼生産量も、JFEHDが従来予想から同20万㌧増の2270万㌧程度に、神戸製鋼が同15万㌧増の580万㌧程度に上振れする。JFEHDの寺畑雅史副社長は「濃淡はあるが、鋼材需要は総じて回復基調が継続する。国内での緊急事態宣言の影響も限定的だ」としている。

 22年3月期以降は、半導体供給不足による自動車メーカーの減産が懸念材料になる。鉄鋼各社も「来期の影響は確認中」(日本製鉄)や「十分な検証や予想はできていない」(神戸製鋼)と予測の域を出ない。ただ、「自動車メーカーの年間の生産見込みが新型コロナウイルスの感染拡大前の水準に戻っている」(JFEHD)ことなどを好材料に、さらなるコスト改善で黒字の定着を目指す。