自工会・豊田会長
部工会・尾堂会長
車工会・木村会長
自機工・辻理事長

 日本自動車工業会(自工会)など自動車工業4団体は9日、都内でトップ会合を開き、業界の発展に向けて協調体制を拡大していく方針を固めた。新型コロナウイルス対策支援のための協調体制を基盤として、コロナ収束後も経済のけん引役として自動車産業が競争力を維持するための施策で協力していく。具体的な施策については、9月までにまとめる方針だ。自工会の豊田章男会長は「自動車業界は日本を支えているという気概が強い。(コロナ禍などの危機に直面し)4団体で一緒にやっていこうという話になった」と述べ、自動車業界が一枚岩となって行動することの意義を強調した。

 自工会の豊田会長をはじめ、日本自動車部品工業会(部工会)の尾堂真一会長、日本自動車車体工業会(車工会)の木村昌平会長、日本自動車機械器具工業会(自機工)の辻修理事長が参加した。4団体は4月、ウェブで共同会見を開き、事業を止めず雇用を維持することで自動車産業が経済のけん引役となることを表明した。今回、4団体のトップが対面で会合を行ったのは初めてとなる。

 会合ではこれまでの取り組みについて進捗状況を報告した。医療現場支援では、医療物資の生産や移動車両を提供。部品メーカーのマレリが量産技術を活用して人工呼吸器の生産をスタートさせるなど、自動車のものづくり力を応用した。6月には、コロナ禍で資金繰りが厳しくなっている企業を支援する「助け合いプログラム」を発足。これまで培ってきた自動車の要素技術や人材を守るための体制も確立した。

 コロナをきっかけに始まったこれまでの施策に加えて、コロナ収束後も業種などの従来の枠組みを越えて産業を底上げしていくための新たな取り組みも議論した。中小サプライヤーの生産現場における改善指導や人材交流を進めていくことやCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)やMaaS(サービスのとしてモビリティ)関連で企業間のマッチングを、業界をまたいで進めていく方針だ。

 自工会では日本自動車販売協会連合会(自販連)との連携も調整しており、業界全体の課題に取り組む体制を構築する考えも示した。