日本自動車工業会(自工会)、日本自動車部品工業会、日本自動車車体工業会、日本自動車機械器具工業会のトップは10日、合同でウェブ会見を開いた。新型コロナウイルスの感染拡大が日本経済に大きな影響を及ぼす中、自工会の豊田章男会長は「私たち自身が踏ん張って経済を回し続け、なんとしても雇用を守っていくことが経済崩壊を食い止める大きな力になる。絶対に事業を止めぬよう努力する」と決意を表明した。これまで培った要素技術や技能を習得した人材の流出を防ぐため、自動車業界が連携したファンドを創設することも明らかにした。

4団体の会見はインターネットを介したウェブ中継で行われ、それぞれのトップが各中継地点から参加した。

裾野の広い自動車産業は経済波及効果も大きい。自動車の生産波及効果は2.5倍で電気機械(1.9)や建設(1.8)などと比べてもインパクトは大きい。自動車が「1」生産すれば世の中の生産が「2.5」誘発され、「(自動車は)日本産業界ではトップレベル」(豊田会長)だという。

世界的な新車需要の減速に伴い工場稼働の停止や従業員の雇用にも影響が出ている。豊田会長は技能や人材に対し「それらが外に流出したり、途絶えてしまえば我々が目指す未来は、きっと何年も遠のいてしまう」と懸念を示した。日本のものづくりの基盤を維持するためにも自動車業界内で企業を助け合う「互助会」のファンドを立ち上げる方針だ。人材と企業のマッチングも担う。

医療崩壊を防ぐため、自動車業界が持つものづくりのノウハウや設備を活用した医療支援にも乗り出す。医療機器メーカーに赴くなど現地現物で得た知見をもとに生産工程の改善を支援する。

豊田会長は感染症問題の収束後には自動車産業が「経済をいち早く復活させる一番の原動力になっていきたい」と述べた。