各社、先行きの不透明感に苦慮している

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の「緊急事態宣言」を受け、ディーラー各社が店舗の営業時間短縮などの措置を相次いで決めている(11日午後12時時点)。首都圏で対象エリアとなる東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県では、一部の販売店を除いて1~2時間程度閉店時間を早める動きが目立ち、5月6日まで土日の営業活動の休業を決断したディーラーもある。

都内新車ディーラーの多くは営業時間を1、2時間短縮。トヨタモビリティ東京(TMT)は午前11時~午後4時、日産東京販売ホールディングスは傘下5社の営業時間を原則午前10時~午後5時とした。短縮期間は、政府が活動自粛を求めた5月6日までとするディーラーもある。しかし、トヨタ西東京カローラが「緊急事態宣言終了まで」とするなど、先行きが見えない感染症終息に苦慮する姿が浮かび上がった。

また、ホンダカーズ東京西は4月29日~5月6日(一部店舗は別日程)の臨時休業に踏み切る。輸入車ディーラーの中には、営業時間短縮に加えて、定休日の増設もしくは新設に踏み切ったケースが見られる。

その一方で、広域ディーラーの関東マツダ、東日本三菱自動車は感染防止策に取り組みつつ、通常営業を行う予定。感染対策として自家用車で移動する人が増えた状況を考慮し、通常営業が必要だと判断した。

神奈川県内のディーラーも営業時間を短縮する。KTグループ、ウエインズグループのトヨタ系ディーラー各社は4月9日~5月6日の営業時間を午前11時~午後4時に短縮する。トレッサ横浜内の店舗の営業時間は午前10時~午後7時とする。GRガレージは臨時休業する。

日産系では神奈川日産が4月13日~5月6日まで、日産プリンス神奈川が4月9日~5月6日までの営業時間をそれぞれ午前10時~午後5時とする。日産プリンス神奈川の長後店はサービス担当従業員1人が新型コロナウイルスに感染したことが判明したため、4月9日~16日は営業を停止する。

ホンダ系ではホンダカーズ神奈川東が4月11日~5月6日、ホンダカーズ神奈川中が4月10日から、ホンダカーズ中央神奈川が4月8日から、それぞれ営業時間を午前10時~午後6時に変更する。

神奈川スバルは4月10日~5月6日の営業時間を午前10時~午後4時に変更する。

埼玉県内も同様におおむね時短営業を開始した。その上で、埼玉トヨペットは土日の営業活動を休止し、営業スタッフは在宅勤務とする。事前予約のサービス入庫は対応する。さらにカーシェアリング業務を休止するなど感染拡大防止を優先して業務を絞る。

「納車については原則としてお客さまとの約束通りの日時で準備する。なお、車両製造遅延により納車時期を変更する場合がある」(県内ディーラー)と、自動車メーカーの生産休止による遅れを心配する声が上がった。

時短を検討するものの、なかなか踏み切れないケースがある。あるディーラーは、サービス入庫の減少が1割程度と想定よりも少ないため、判断が難しい状況という。

マスクの入手困難が営業活動に及ぼす影響を心配する声がある。また別のディーラーでは現在、災害対策用に備蓄していたマスクを使用しているが「そろそろ底をつきそうだ」と厳しい状況を示した。顧客に向けて「マスク入手が困難なため、接客時に未着用のスタッフがいる場合がある」とホームページで告知するディーラーもある。

千葉県内のディーラーでも、営業時間を1時間から2時間近く短縮する動きが相次いだ。こうした中で千葉マツダは全26店舗で通常営業を継続。「お客さまのクルマの安全、カーライフの安心を提供するため」に通常営業が欠かせないとした。