会見する遠藤会長

電子情報技術産業協会(JEITA)の遠藤信博会長は12月18日の会長記者会見で「(新たな価値を創造するソサイエティ5.0の)成長をけん引するキードライバーとなるのが第5世代移動通信システム(5G)」と述べ、2020年から5Gが産業界に大きな影響を及ぼすとの見方を示した。

5Gは2020年春から日本で本格的なサービスがスタートする。JEITAが同日発表した今回の「注目分野に関する動向調査」では、5Gを取り上げた。それによると5G市場の世界需要は2020年に8兆円、2025年に77兆円となり、2030年には168兆円と、年平均64%の伸び率でと急激に増加すると予想する。

また、IoT機器の世界需要は2020年に180兆円が2025年に239兆円、2030年に294兆円と予測。2030年のIoT機器の種類別で最大となるのは自動運転車で65兆円に拡大することを予想する。IoT機器を搭載した自動運転車は2030年に2699万台、5G対応率として21%を見込む。

5Gは自動運転車やトラック、鉄道など、公衆網に接続する「WAN5G」と、工場や建設現場、イベント会場などのクローズド空間で利用できる「ローカル5G」がある。それぞれの世界需要額はWANG5が2020年に8兆円が2030年に158兆円、ローカル5Gが2020年の1000億円から2030年に11兆円と予測。日本のWAN5Gは2030年に9兆円、ローカル5Gが1兆3398億円と見る。

WAN5Gに接続するIoT機器の世界需要は2030年に99兆円で、このうちスマートフォンが55兆円、自動運転車が14兆円と予想する。ローカル5Gに接続するIOT機器のうち、2030年に日本で成長が見込まれるIoT機器の需要額はロボットが最も大きくて2407億円、次いでドローンで669億円、自動運転車が666億円と続く。これまで「通信の安定性や法規制などの問題から無線ネットワーク化が困難だった製造拠点などでローカル5Gの活用の広がることが期待される」(遠藤会長)としている。

一方、JEITAが発表した電子情報産業の世界生産見通しによると、2020年の電子情報産業の世界生産額は、米中貿易摩擦などで「先行き懸念はあるものの、5Gの進展やIT投資の拡大が期待できる」(遠藤会長)ことから、2019年見通しより5%増となる3兆0800億ドルと、過去最高を見込む。遠藤会長は、今後の不安材料である米中貿易摩擦について「緊張感は緩和される」と予想、ソリューションサービスが全体をけん引すると予想する。