経営再建中の大手部品メーカーであるマレリホールディングスに、インドの同業大手マザーサン・グループが買収を提案していることがわかった。マレリは提案を受け入れる方針で、5月26日にも債権者集会が開かれ、マザーサンをスポンサーとする私的整理の計画が協議される。マレリは「安定的な株主構成を含め、経営再建に向けてさまざまな検討をしている」としている。
報道などによると、マザーサンは以前にもマレリに買収を打診した経緯がある。今回マザーサンは、米投資ファンドのKKRからマレリの株式の譲渡を受けるほか、みずほ銀行、国際協力銀行、ファンドなど約10社が持つ債権を、すべて買い取る方向で調整しているとされる。
KKRからの譲渡に当たり、株の価値はゼロと算定される見込み。さらに、マザーサンはマレリに1000億円出資し、金融機関の債権(計約6500億円)を2割の価格で購入する計画。さらに過去の融資関連などを含め、計2800億円規模の資金を入れる計画となる。
マレリは、前身にあたる旧カルソニックカンセイをKKRが2017年に買収し、19年に旧マニエッティ・マレリと統合。その後、リストラの遅れや日産自動車の減産、コロナ禍などの影響で業績が悪化。1兆1000億円超の負債総額を抱え、民事再生の一種の「簡易型」で、22年から再建を進めている。
ただ、その後も日産やステランティスなどの業績悪化を受けて、マレリの業績も低迷。追加支援として毎月、返済猶予を受ける状態が続いている。
その中で、買収を柱にした再建案が浮上した。ただ、私的整理は債権者の全員の同意が必要で、協議が成立しなかった場合、法的整理に入る可能性も残るという。