MaaSアプリ「エモット」の発表会見
エモット
経路検索
箱根グリーパスの電子チケットを購入できる
デジタル箱根フリーパスの特急券

小田急電鉄は、オープンな共通データ基盤「MaaS Japan」を活用したMaaS(モビリティ・アズ・アーサービス)「EMot(エモット)」を10月31日に配信するとともに、箱根エリアや新百合ヶ丘エリアで、アプリの機能を使った実証実験を実施すると発表した。

小田急は、運転免許証を返納した高齢者の移動手段確保などの社会問題を解決するため、複数のモビリティや、目的地での活動を一つのサービスでシームレスに検索・予約・決済を提供するMaaSの取り組みを本格化している。同社のヴァル研究所が鉄道やバス、タクシーなどの交通データや各種フリーパス、商業施設での割引優待などの電子チケットの検索・予約・決済する機能を提供するデータ基盤「MaaS Japan」を開発している。

今回、MaaS Japanを活用したアプリを開発した。当面、アプリで複合経路検索と電子チケットを発行する。複合経路検索は、鉄道やバス、タクシー、シェアサイクルなどを組み合わせ、コストの安い順、早く到着する順、乗り換えが少ない順などで表示される。タクシーはDeNAのタクシー配車アプリ「MOV」と、ジャパンタクシーの「Japan Taxi」のアプリとそれぞれ連携しており、予約できる。

MaaSアプリを使った実証実験では、観光型MaaSとしてエモットのチケットストアで「デジタル箱根フリーパス」を販売する。電子チケットを係員に提示するだけでサービスを受けられる。郊外型MaaSとして、新百合ヶ丘エリアで2500円以上購入し、インフォメーションセンターでレシートを提示して2次元コードを読み取ると、新百合ヶ丘駅を発着する小田急バス路線の往復バス無料チケットをエモット内で発行する。

また、エモットでは飲食サブスクリプションの実証実験も実施する。新宿と新百合ヶ丘で、対象店舗を、1日1回利用できる飲食チケットを販売する。対象の飲食品は500円相当で、30日券が7800円。

このほか、10月末からエモット内で遠州鉄道の電子チケットを販売するほか、九州旅客鉄道(JR九州)との実証実験も実施する予定だ。

同社では、「MaaS Japan」をベースに連携するパートナーを増やす方針で、アプリの名称や、アイコンのカラーに小田急を象徴するブルーを使っていない。今後、アプリの利便性が向上するように、交通事業者、自治体、商業施設の運営会社などに幅広く参加や連携を呼びかけていく方針だ。

実証実験は2020年3月10日までで、2万件のエモットアプリのダウンロードを目指す。