東レは、リチウムイオン電池(LIB)用セパレーターを製造する韓国LGグループとの折半出資のハンガリー合弁会社の保有する全株式をLG化学に約300億円で売却すると発表した。東レは今年6月、合弁会社の株式の20%をLG化学に売却することで合意していたが、保有する全株式を売却することにした。電気自動車(EV)市場の先行きが不透明な中、東レはハンガリーでの電池用セパレーター事業から撤退する。
東レとLG化学は、欧州市場向けにLIB用の主要部材の一つであるセパレーターフィルムを製造するため、ハンガリーに折半出資で合弁会社「LG東レハンガリーバッテリーセパレーター」(LTHS)を2022年6月に設立した。
欧州地域でのEV市場の成長率の鈍化に伴う車載用電池需要の低迷や、中国系電池メーカーの欧州進出で車載用電池の価格競争の激化も予想される中、東レはハンガリーでのセパレーター事業から撤退する。
東レは今年6月にLTHSの保有株式50%のうち、20%をLG化学に売却して、LG化学がLTHSの事業を主導することで合意していたが、今回、残りの30%も売却することで新たに合意したという。
関係当局の承認を得て25年12月に実行する予定。
東レグループは、韓国と日本の拠点でのLIB用セパレーターフィルム関連製品の製造や開発を継続する。今期の業績への影響は軽微と見込む。