三井化学と出光興産、住友化学の3社は10日、自動車などに使用される汎用プラスチック事業を統合することで基本合意したと発表した。三井化学と出光興産のポリオレフィンを製造する合弁会社に住友化学の国内のポリプロピレン(PP)事業と直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)事業を2026年4月に統合することを目指す。年間80億円以上の合理化効果に向けて生産体制を再編する。
汎用樹脂であるポリオレフィンは、自動車のインパネやバンパー、リチウムイオン電池部材など幅広い製品に使われる材料。中国の過剰生産や国内需要減少で、国内市場は慢性的な供給過多の状況にある。24年のPPの国内需要に対する過剰生産能力は69万トン。今回、三井化学と出光興産のポリオレフィン合弁会社であるプライムポリマーに、住友化学が合流して生産能力削減などの合理化を進める。
住友化学はプライムポリマーに国内のPPコンパウンド事業を含むPP事業とLLDPE事業を移管して株式の20%を取得する方向で調整する。三井化学の出資比率は65%から52%、出光興産が35%から28%にそれぞれ下がる。
プライムポリマーと住友化学は同じ京葉地域に生産拠点を持ち、生産の最適化を進めやすいのに加え、環境負荷低減技術の開発などでのシナジーも期待できるとしている。事業移管後のプライムポリマーの年間生産能力はPPが従来比26%増の159万トン、ポリエチレン(PE)が30%増の72万トンとなる。24年度の売上高を合計すると3873億円となる。
プライムポリマーは、26年度にPP1系列の生産を停止する元々の計画に加えて、事業統合後にPP1系列、PE1系列の追加停止や、間接部門の統合など、年間80億円以上の合理化効果を目標に取り組みを進めて競争力強化を図る。特に脱炭素社会に向けて、高機能や環境に配慮した製品の開発力を強化して持続可能なグリーンケミカル事業の実現に向けた取り組みを加速するとしている。
三井化学の橋本修社長は「(樹脂事業を)リストラしてきたが、自社による努力はメドがついた。これからは他社との連携や統廃合で事業基盤を強化するフェーズに入っている」と述べた。