ソフト99コーポレーションが実施しているMBO(経営陣が参加する買収)による株式の非公開化に向けたTOB(株式公開買い付け)をめぐり、第2位の株主であるキーパー技研は10月24日、旧村上ファンド出身者が設立した投資ファンドのエフィッシモ・キャピタル・マネージメントによる対抗TOBに応募すると発表した。キーパーはソフト99のMBOに賛同する意思を示していたが、方針を転換。ソフト99株を約12%保有するキーパーがエフィッシモの対抗TOBへの応募を決めたことで、ソフト99のMBOの行方は、新たな局面を迎えた。

ソフト99は8月にTOBを開始したが、エフィッシモが9月16日に対抗TOBを始めたことで、これまでTOB期間を3度にわたって延長していた。さらに10月17日には、買い付け価格を2680円に引き上げていた。

キーパーは、ソフト99創業家出身の田中秀明社長が全株式を所有する特別目的会社(SPC)との間で、「公開買付応募契約」を9月2日に締結。第2位株主によるMBOへの賛同を得て、市場でもソフト99のTOB成立を見越した動きが広がっていた。

キーパーは、エフィッシモの対抗TOBに賛同する理由として、(1)1株当たり1420円低いTOB価格を提示するソフト99のTOBに応募することの合理性を基礎づけるに足りる事由を見出せない、(2)契約締結時点から今回のMBOを取り巻く状況は大きな変化が生じており、契約の有効性自体にも疑義がありうる、の2点を指摘。「1株当たり1420円高い買い付け価格を提示する対抗TOBに応募することが、企業価値の向上と株主共同の利益の観点から最善である」(キーパー)として、方針を転換した。

市場関係者は「上場会社であるキーパーにとって、株主への合理的な説明を果たるためにも、両社のTOB価格の開きは大きな決断を迫るには十分だったのでは」との声が上がる。

今年3月にソフト99の株式を取得し、大株主に名を連ねたキーパーは、商品開発や調達などでソフト99との相乗効果を発揮できると判断し、協業なども視野に入れていた。ただ、今回のTOBをめぐる方針転換を踏まえると、こうした戦略にも影響を与える可能性がある。

ソフト99はこれまで、国内外における持続的な成長を実現するための手段としてMBOの有効性を訴求する一方で、「株主にさらなる判断機会を提供し、TOB成立の可能性を高める」(ソフト99)ための期限延長と買い付け価格の上乗せに踏み切るなど、ギリギリの策を講じてきた。

10月31日の期限まで1週間。ソフト99の対応に注目が集まる。