旧村上ファンド出身者が設立した投資ファンド「エフィッシモ・キャピタル・マネージメント」が、ソフト99コーポレーションに対するTOB(株式公開買い付け)の実施を公表した、と同社が16日に発表した。ソフト99は、MBO(経営陣が参加する買収)による株式の非公開化を目指している。エフィッシモはTOBに踏み切る理由を「MBOによる買い付け価格(1株2465円)はPBR(株価純資産倍率)1倍を下回る著しく割安な水準で、少数株主の利益の保護に強い懸念がある」と説明している。

 エフィッシモのTOBは、9月16日から10月29日まで。買い付け価格は1株4100円と、ソフト99のTOB価格より7割近く高い。発行済み株式数の92.30%に相当する2055万8683株を842億円で取得する。応募数が買い付け予定数の下限とする616万3300株に満たない場合は、TOBの実施を見送る。

 ソフト99は、こうしたエフィッシモによるTOBに対して、意見の表明を留保する方針だ。「当社の企業価値の向上に資するものであるか、当社の一般株主にとって公正なものであるかといった点について慎重な検討を行う」としている。ソフト99は、自社のTOBに対する応募を推奨する方針を取り下げて、株主の判断を尊重する考えだ。

 ソフト99は、創業家出身の田中秀明社長が全株式を所有する特別目的会社(SPC)による自社へのTOBを経て、株式の非公開化を進めている。株式買い付け期間は8月7日から9月19日までで、1476万4831株を363億円で取得する計画。応募数が買い付け予定数の下限である756万6400株を満たしてTOBが成立すれば、東京証券取引所スタンダード市場での上場は廃止となる予定だった。