ソフト99コーポレーションは8月6日、創業家出身の田中秀明社長が全株式を所有する特別目的会社(SPC)が、自社へのTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。田中社長による株式非公開化を前提としたMBO(経営陣が参加する買収)の一環。MBOの理由として、カーケア用品のニーズの変化や法規制強化、エネルギーコストの上昇などの不透明な事業環境に対し、中長期的な成長に向けた施策を迅速に行う経営体制の構築が必要と判断した、としている。
買い付け価格は1株あたり2465円で、買収総額は約363億円。TOBが成立した場合、買収資金はSPCが三菱UFJ銀行からの借り入れで賄う。田中社長はTOB成立後も引き続き経営に携わるとしている。
株式の買い付けは、8月7日~9月19日までの期間で行う。ただし、田中社長、および田中社長の資産管理会社でソフト99の筆頭株主であるサントレードを含む大株主5者はTOBに応募せず、TOB成立後に田中社長とサントレードに株式を集約する貸株取引を行う。加えて、他の株主2者はSPCとの間で買い付けに応募する旨の合意を結んでいる、とする。現在7者は、発行株式全体のうち36.16%を保有している。公開買い付けの実施などにより、最終的にSPCが株式の100%保有を目指す。
なお、TOBに応募しない5者の株式を含めて総議決権数の3分の2以上になるように買付予定数の下限(35.03%)を設けており、応募数がこれに満たない場合は、買い付けをすべて見送る。
ソフト99は、グループとして自動車用ケミカル用品や工業資材向けなどの化成品の製造・販売、自動車に関するサービス事業などを手掛けている。2025年3月期の売上高は297億円。
ソフト99に対する出資をめぐっては、洗車関連サービスを提供するキーパー技研が今年3月に12.42%の株式を取得した。現在、第2位の大株主だが、上記の7者には含まれていない。