販売好調な「パトロール」
報道陣の質問に答えるイヴァン・エスピノーサ社長

日産自動車のイヴァン・エスピノーサ社長は11月6日、日産車体九州(福岡県苅田町)の生産体制の3直化に向けた準備を進めていることを明らかにした。生産車種の販売が好調で、今冬にも24時間操業へと移行する見込みだ。一方、2027年度末に生産を終える追浜工場(神奈川県横須賀市)の跡地活用については、完成車生産以外の選択肢も含めて検討する考えを示した。

日産車体九州では、ラダーフレームの大型SUV「パトロール」と、派生車種の「アルマーダ」、「インフィニティQX80」を生産している。特にパトロールは主力の中東市場などでの販売が好調で、「生産体制を最大限確保する」(エスピノーサ社長)。27年度前半には日本市場への投入も予定している。

追浜工場の跡地活用をめぐっては、「まずは従業員を中心に考える」とした上で、「自動車工場の運営は(外部環境変化が激しい)今の時代では難しい。長期的、持続的に雇用を維持できる選択肢」を検討しているという。

同工場などに減産影響を及ぼすオランダの中国系半導体メーカー・ネクスペリアの供給停止問題については「(コロナ禍後の)過去の供給不足から学んでおり、密に状況をモニタリングしている。できるだけ影響を最小化する」と話した。

経営再建計画についてエスピノーサ社長は、「今年度は過渡期だが、年度末までに固定費を1500億円、削減する」と話した。26年度の自動車事業の黒字化目標について「関税影響を除く」を付記したことに質問が相次いだが、「目標は5月と全く同じ」(ジェレミー・パパン執行役最高財務責任者)と説明した。

エスピノーサ社長は「ジャパンモビリティショー2025」の会場で、今後はコスト削減策と並行して新型車で攻勢をかけ、経営再建計画を「セカンドギアにシフトする」と語っていた。「エルグランド」や「パトロール」などを投入する日本市場では「取り組みを発信してイメージを向上させたい」と語った。