ソフト99コーポレーションの田中秀明社長は9月26日、日刊自動車新聞のインタビューに応じ、旧村上ファンド出身者の設立した投資ファンドのエフィッシモ・キャピタル・マネージメントがTOB(株式公開買い付け)で対抗していることについて「MBO(経営陣が参加する買収)を阻止する意味合いから、TOBに踏み切ったと考えられる」と見解を述べた。その上で「当社は営業利益の25%を株主へ還元する方針を掲げるなど、安定的で継続的な株主価値の確保に努めてきた」と強調。MBOに対して一定の株主が賛同しているとの認識を示し、買い付け価格の引き上げもしない考えを明らかにした。

田中社長は、MBOの実施に踏み切った背景について「主力のカーケア用品事業など市場が縮小する中で生き残りを図るには、従来のビジネスモデルから脱却し、非連続的な成長戦略の構築が不可欠である」と説明する。

例えば、国内では店舗と電子商取引(EC)を組み合わせた製品とサービスの融合による「付加価値の提供」を推進して収益力を確保していく。海外は、サステイナビリティーの観点から、洗車を「日本固有の文化」(田中社長)と位置付け、「クルマの美装文化」を普及させていく戦略を掲げる。

これらの施策を進めるためには、デジタル化や施設の整備、人材確保などの先行投資が必要となる。ただ、一定期間は収益にネガティブな影響も避けられない。こうした観点から「足元の業績や株価に捉われず、企業価値向上策を機動的に検討・実行できる経営体制の構築が必要」(田中社長)として、株式の非公開化を決断したという。