ソフト99コーポレーションは10月17日、MBO(経営陣が参加する買収)による株式の非公開化に向けたTOB(株式公開買い付け)の買い付け価格を、従来の2465円から2680円に引き上げると発表した。買い付け終了日も10月17日から31日に延長する。ソフト99が今回のTOBで買い付け価格を引き上げるのは初めて。TOB期間の延長は3度目となる。

ソフト99のTOBを巡っては、旧村上ファンド出身者が設立した投資ファンドのエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが「少数株主の利益の保護に強い懸念がある」として、ソフト99へのTOBを9月16日に開始。ソフト99は9月25日、エフィッシモのTOBに対して「反対」の意見を表明し、株主へ応募しないよう求めた。一方で、焦点となっていたTOB価格については「公正かつ妥当である」として据え置いていた。

ソフト99がこれまで設定してきた買い付け価格に対して、エフィッシモのTOBは1株当たり4100円と7割近く高かった。しかし、ソフト99は、自社のTOB開始前の年初来高値(1株1807円)からプレミアムを付与して買い付け価格を設定。エフィッシモの主張に反対する根拠の一つとしてきた。

ソフト99がこのタイミングで買い付け価格の上乗せに踏み切った背景について、「MBOによる持続的な成長戦略への理解をより強く促す観点から、『最後の一押し』を狙ったのでは」(市場関係者)との見方もある。設定価格の合理性を訴えながら、株主への配慮を具体的な形で示すことで、好感度を少しでも高めようとする思惑もあるようだ。

とはいえ、双方の買い付け価格にはまだ差があるのが実情。エフィッシモの動きを横目に、株価の推移も考慮しながら、こうした価格差に対して株主がどう判断するか。神経戦は続く。