三菱電機は9月8日、募集人員を設定せずに早期希望退職者を募集すると発表した。同社は2025年3月期連結決算で、売上高、営業利益が過去最高となったものの、不採算事業や成長が見込めない事業を見直している。パナソニックホールディングスも業績は黒字ながら国内外で1万人規模の人員を削減して構造改革を推進している。足元の業績に関わらず人員体制の見直しを進める企業が増えている。
三菱電機は「ネクストステージ支援制度特別措置」として早期希望退職者を募集する。対象は26年3月15日時点で満53歳以上の勤続3年以上の正社員と定年後再雇用者で、12月15日から26年1月9日まで募集する。募集人員は設定しない。応募者には退職金を上乗せし、希望する正社員には再就職支援サービスを提供する。
三菱電機の業績は順調に推移しているものの、不採算や低収益、成長が見込めない事業など、売上高で8000億円分の事業について撤退するか、継続するかを検討しており、25年度中に決定する予定。自動車機器事業などが見直しの対象になっている模様だ。
今回、早期希望退職制度を実施するのは「新たなキャリアのステージに進むことを計画している従業員に対するこれまでの貢献への感謝と、会社としての経営課題への対応の両面から実施する」としている。
募集人員を設定しないことから、今期の通期業績への影響は不明としている。
パナソニックHDも業績は黒字ながら、グループ従業員の約5%にあたる1万人の人員削減を打ち出している。間接部門などを中心に人員削減を進めて固定費を削減、収益力アップを図る。事業を取り巻く環境が不透明な中、足元の業績は堅調でも人員削減による固定費削減の動きが広がっている。