カムリのグローブボックス

 豊田合成は20日、廃車のバンパーや内装品からプラスチック(プラ)を再生する「水平リサイクル」の新技術を実用化したと発表した。日本で生産し欧州などで販売するトヨタ自動車「カムリ」の内外装部品で採用され、すでに量産している。今後は欧州の「ELV規則」(廃車由来含む再生プラ利用促進)の強化などを踏まえ、対象部品を増やしたり、自動車シュレッダーダスト(ASR)や日用品などに原料の範囲を広げていく考えだ。

 従来の廃プラ再生では、不純物の混入により性能が低下するため、焼却時の熱エネルギーを活用する「サーマルリサイクル」などが一般的だ。同社はリサイクル事業を手掛けるいその(磯野正幸社長、名古屋市東区)と協業し、異物を除去した高品質な原料を確保。さらに回収したバンパーの塗膜剥離技術や材料配合技術といった独自の「改質技術」により、廃車由来のポリプロピレンを50%含有しながら新材同等の性能を持つ再生プラを開発した。

 廃車由来プラを、50%配合した再生プラを耐衝撃性が必要な内装部品で実用化するのは世界初となる。現在はカムリのグローブボックスやフロントグリルの内側に採用されており、今後は意匠部品への採用も目指す。

 二酸化炭素(CO2)排出量の削減効果は最大で約4割と試算する。IE事業本部の日向博実副本部長は「業界のサーキュラーエコノミーと脱炭素に貢献していきたい」と述べた。