住友ゴム工業と三菱ケミカルは30日、タイヤ用カーボンブラックを循環させる取り組みで協業すると発表した。使用済みタイヤの再生材料などをケミカルリサイクルしてカーボンブラックを生産し、これをタイヤの原料として使用する。使用済みタイヤを資源として再利用するシステムを構築することで、二酸化炭素(CO2)排出量を削減するとともに、タイヤのサーキュラーエコノミーの実現につなげる。

 タイヤ由来の再生材料から生産したカーボンブラックを実用化するのは世界で初めて。

 今回の協業では、住友ゴムが回収した使用済みタイヤの粉砕処理品やタイヤ製造工程で発生するゴム片を三菱ケミカルに供給する。三菱ケミカルはこれらを原料の一部としてコークス炉に投入して化学的に分解してリサイクルする。ここで得たタールからカーボンブラックを生産し、これを住友ゴムがタイヤ原料として使用する。

 住友ゴムは今回の取り組みで生産した資源循環型カーボンブラックを2025年から、一部レース用タイヤや乗用車向けタイヤの一部に採用し、26年以降、採用範囲を拡大していく。

 使用済みタイヤは多くが燃焼させる熱源として再利用しているが、タイヤを構成する大部分のゴム成分とカーボンブラックが燃焼するとCO2が発生する。両社はカーボンブラック資源を循環させる仕組みを構築して、CO2排出量を削減する。

 三菱ケミカルは昨年7月からタイヤ由来の再生材料を原料として使用するケミカルリサイクルの実証実験を実施し、性能や品質に問題がないことを確認、資源循環型カーボンブラックを販売することにした。