豊田合成がゴム廃材を再びゴム製品に用いるマテリアルリサイクルの事業化を急いでいる。社外から調達したゴム廃材を再生する新たな取り組みに着手した。今後、試験ラインを設置するなど実証を進める。同社は森町工場(静岡県森町)で自社製品の生産工程で発生するゴム廃材を再利用している。再生するゴム廃材の量を増やし、ゴムリサイクルの事業化につなげていく。
同社がゴム廃材のリサイクルを推進するのは、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)につながる上、配合や練りといった高分子材料のノウハウなど「われわれの強みを生かせる」(齋藤克巳社長)と見ているためだ。社外企業との取り組みは「まだ開発段階」(同)としながらも、ゴム廃材を社外から調達し、自社ラインで再生し、再び製品材料として売り先に使ってもらう事業スキームを描く。
自社工程で出る廃材と異なり、社外のゴム廃材はさまざまな物性を持つため、まずは同社の技術センターに設置する小規模ラインで実証を進める。将来的には自社工場へのライン設置や、社外企業との協業を検討する。
同社の森町工場では、2021年度にリサイクル工程を稼働。ドア枠に装着するオープニングトリムなどウェザーストリップの生産時に発生する廃材の活用を進めてきた。昨年10月には2本目となる新たなラインを設置し、リサイクル材の生産を2倍に拡張。再生能力を年1200㌧に倍増させている。
リサイクル材をめぐっては今後、再生プラスチック(再プラ)の需要も高まる見通し。特に欧州では、新車に使用するプラスチックの25%を再生材(このうち25%は使用済み自動車由来)とする「ELV規制」を欧州委員会が定めている。同社は、ELV由来の再プラ開発も進めている。量産車への本格採用はこれからだが、内外装部品での使用率を高めていく考えだ。