住友ゴム工業は15日、白河工場(福島県白河市)に水素製造装置を導入したと発表した。年間最大100㌧の水素を製造し、タイヤ生産時の熱源として活用する。水素の製造から使用までを自社拠点内で完結させることで、輸送を含むサプライチェーン全体で年間1千㌧の二酸化炭素(CO2)排出削減につなげる。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けて山梨県が開発する「やまなしモデルP2Gシステム」を導入し、4月に稼働した。製造した水素をボイラーの燃料とし、高温、高圧でタイヤのパターンなどを加工する工程で活用。システムは24時間稼働できる。
同社はNEDOの助成を受け、2021年からタイヤ生産工程における水素の利活用を実証。熱源となる水素は福島県内の製造拠点から陸路で調達しており、輸送工程でのCO2排出が課題だった。24年に実証が終了した後も水素利用を継続するに当たり、自社拠点内で水素を製造することで、陸路による調達頻度を減らし、環境負荷低減効果を最大化する。
15日に開いた発表会で山本悟社長は「水素を造る、使うの二刀流で、持続可能な社会の実現に貢献したい」と説明。今後は水素の利用範囲の拡大を目指すほか、30年以降をめどに国内他工場にも展開していく。