白河工場のタイヤ生産ライン

 住友ゴム工業は、大口径で付加価値が高い「プレミアムタイヤ」の生産体制を拡充する。白河工場(福島県白河市)で汎用タイヤの生産を集約し、空いたスペースを使ってプレミアムタイヤを効率的に生産する新ラインを構築する。デジタル技術や自動化設備を導入し、リードタイムを縮めたり、将来の労働力不足に対応できるようにする。タイ工場など海外拠点にも展開していく。中国勢が低価格タイヤで攻勢をかける中、収益の高いタイヤに経営資源を集中する。

 乗用車用の場合、一般に18㌅以上を「高インチタイヤ」と呼ぶ。タイヤが潰れにくくなることで運動性能が高まったり、デザイン性が上がったりする。同社は、SUV向けや18㌅以上の高インチタイヤをプレミアム商品と位置づけ、成長の核として開発と販売に力を入れていく。

 白河工場では現在、サイズの異なるタイヤを混流生産している。今後、17㌅以下の生産を集約し、空いたスペースを利用してプレミアムタイヤ専用の生産ラインを構築する。各工程の状況をリアルタイムで把握したり、トレーサビリティ(追跡性)を高めるなど生産性や品質の向上を図れる設備とする。

 さまざまなサイズや用途のタイヤをつくり分けようとすると自動化しにくい。このため、生産するタイヤのサイズを少なくして効率的に生産できるようにする。タイのタイヤ生産拠点でも国内と同じようにプレミアムタイヤの生産体制を整備していく。

 タイヤ市場は、中国や韓国などのメーカーが低価格タイヤを世界の各市場に投入してシェアを高めている。このため、住友ゴムは「量から質」へと事業構造を転換し、付加価値の高いプレミアムタイヤ事業を強化している。2024年のプレミアムタイヤ比率は40%だった。プレミアムタイヤの品ぞろえを増やすとともに生産体制も整備し、この比率を60%に引き上げる方針だ。