JFEスチールは7日、スズキと共同で、シミュレーションモデルがない自動車開発の初期段階で、ルーフパネルの振動数を予測できる技術を開発したと発表した。車両デザインと設計工程での作業の手戻りを削減し、開発期間の短縮につなげることができる。JFEが開発した「固有振動数の予測手法」を活用した技術で、スズキの軽乗用車「スペーシア」で量産車開発として世界で初めて適用した。

 両社は、多変量統計解析手法であるJFEの固有振動数の予測手法を使用し、車内に「こもり音」が発生する原因である低周波数帯域でのルーフパネルの振動数を予測する実験式を構築した。

 車体全体からルーフ振動に対する影響度の高い部位を抽出するとともに、デザインで重要な基本面形状に影響しない設計変数だけで結果が得られる。このため、車両設計シミュレーションモデルがない開発初期段階から静粛性を考慮してデザインを決定できる。

 自動車の軽量化や広い車内空間の確保を目的に、鋼板の薄肉化やルーフパネルのフラット化が進んでいるが、振動が発生しやすく、こもり音や雨音など騒音の原因となる。設計後の性能評価で判明するとデザインや設計の手戻りとなり、開発期間が延びるリスクがある。

 JFEとスズキは共同で構築したルーフ固有振動数を予測する実験式をスペーシアの開発に適用し、デザインと設計の工程で手戻り工期を削減できたという。多変量統計解析手法による予測技術を量産車の開発に適用したのは世界初となる。