JFEスチールは2日、西日本製鉄所の倉敷地区の高炉を1基休止して生産調整に入ると発表した。自動車向け鋼板など、国内で鋼材の需要が低調に推移しているため。日本から米国へ輸出する自動車に25%の追加関税が発動されたことに伴い、国内の自動車生産拠点で減産も予想され、さらに鋼材需要が低迷する可能性もある。

 今回、倉敷地区にある第3高炉で、5月中旬をメドに「バンキング」と呼ばれる高炉への送風を停止し、再稼働が可能な状態で休止する作業に入る予定。これによって同社の粗鋼生産能力は15%減る。

 鋼材需要は主力の自動車向けなどで低調なのに加え、海外からの輸入鋼材も増えており、販売競争が激しい。同社では「量から質への転換」を図っていることから、鋼材の生産調整を通じ、スリムで強靭な生産体制を目指す。「鉄鋼需要の動向を注視し、需要に見合った柔軟で迅速な対応を実施する」としている。

 一方、トランプ米大統領はすべての国から米国に輸入される自動車に25%の追加関税を発動した。日本からは2024年実績で135万台の自動車が輸出されており、今後、国内での減産も予想される。今回の高炉休止が〝トランプ関税〟を見据えているかどうかは不明だが、今後さらなる生産調整を検討する可能性もありそうだ。