JFEスチールは7日、今月16日に高炉設備を休止する東日本製鉄所・京浜地区(川崎市川崎区)の再開発方針として、同地で次世代の街づくりを進める「OHGISHIMA2050」構想を公表した。港湾がある「先導エリア」では水素の供給拠点などとして活用する。「モビリティ・ハブ」では自動運転車や「空飛ぶクルマ」などの次世代モビリティの活用や実証を検討する。次世代産業なども誘致し、次の100年に向けた都市づくりを進める。
同社は生産体制の最適化を目的とした構造改革の一環として、京浜地区で高炉の休止を決めた。再開発の対象となる用地面積は約222ヘクタールで、設備の解体や土壌改質などに約7500億円を投じる。将来的には扇島エリア近郊の約360ヘクタールも土地利用の転換を検討する。
該当エリアの新たな活用施策として、50年に向けた次世代の街づくりを始める。原料運搬船が停泊する港湾地域などの先導エリアでは、公共利用できる港湾施設や水素の供給施設を整備する。
「共創エリア」では、物流拠点やデータセンターなどの産業用に加え、商業や文化施設などの誘致を検討する。エリア内には、自動運転車など次世代モビリティで移動できるモビリティ・ハブも設置する。完成車メーカーやサプライヤーなどと組み、次世代モビリティを実証する場としても役立てていく。
京浜地区は自動車用鋼板などを生産している。構造改革完了後は、粗鋼ベースで年間200万トンを生産する計画で、モーターコアや駆動部品など、高付加価値製品の生産比率を足元の3割から6割に引き上げていく方針だ。