3月11日、東日本大震災と原発事故から14年を迎えた福島県についてお話しさせていただきます。福島第一原発のある双葉町には、原発事故発生前はおよそ7千人が住んでいました。今は皆さん避難をされていて、180人という少ない人数になっています。その中でも、毎日、片道1時間半をかけて畑に通う農家さんがいたり、ようやく駅前にテイクアウトができるコーヒーショップができて町民の皆さんの憩いの場になったりしています。
こういう双葉町の姿を見て、皆さんは「まだ福島はこういう状況なのか」と感じるでしょうか。しかし、原発事故の前から福島で働いている立場からすると「ようやく福島がここまで来たのだ」と思うところもあります。まったく足を踏み入れることのできなかった町にこれだけ人が戻ってきて、町も変わってきている。そんな姿を福島のテレビ局として全国にどんどん発信していきたいと考えています。
原発事故により「福島では日本全体が抱えている過疎などのさまざまな問題が数十年早く進んだ」と言う社会学者もいます。他人事ではなく、「双葉町の姿は、皆さんのそれぞれの街の将来の姿かもしれない」ということを私からお伝えしたいと思います。
双葉町に戻った87歳の女性は、まだ車の運転をしています。地方にとって車は本当に必要不可欠なものです。子どももお年寄りも、皆が安心して暮らせる街であり続けるための役割の一端を、車が担っていることをお伝えいただければと思います。