ダイハツ工業は27日、インドネシアにあるスンター工場(ジャカルタ州)第1ラインを閉鎖する代わり、カラワン工場(西ジャワ州)で2本目の生産ラインを稼働させたと発表した。年産能力は14万台で、投資額は約2兆9千億ルピア(約264億円)。インドネシア全体での生産能力は年間53万台で変わらないが、ダイハツの生産思想である「SSC(シンプル・スリム・コンパクト)」をもとに生産効率化やコスト削減など進めたほか、将来の電動車生産も見据えたという。

 カラワンの第2ラインは2024年12月から稼働しており、Aセグメントの「アイラ」とOEM(相手先ブランドによる生産)車のトヨタ「アギア」「ウィーゴ」を生産している。5月にはスンターの第1ラインで生産するBセグメントの「セニア」とOEM車のトヨタ「アバンザ」もカラワンの新ラインに移す。カラワン工場全体の年産能力は約36万台。

 将来的な電動車化対応も見据え、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)なども生産できるよう設計した。

 第2ラインではまた、塗装の効率を高めたほか、溶接ラインでロボット導入を増やしたり、生産時に使用するエネルギーを極小化したりした。省エネや太陽光パネルの設置により、二酸化炭素(CO2)の排出は年間3割ほど削減できる見込み。アストラ・ダイハツ・モーター(ADM)の京田靖社長は「生産車種は変わらないが、コスト競争力や品質が上がっている。顧客により良い車をタイムリーに届けられる」と語った。

 スンター工場では、第1ラインの移管で浮いたスペースに、近隣の建屋を借りて行っていた鋳造などの作業を移す。第1ラインで活用していたロボットなどの設備も第2ラインに移し、生産効率を高める考えだ。