「ガイキンド国際モーターショー(GIIAS)2024」が18日、インドネシアのジャカルタで開幕した。インドネシアの新車販売台数における日本メーカーのシェアは9割を超える重要な市場だ。日本メーカーでは、トヨタ自動車や日産自動車、ホンダなど12社13ブランドがブースを構えた。一方、日本勢とほぼ同じ規模で出展しているのが中国勢だ。電気自動車(EV)を軸に中国メーカーがインドネシア攻略を本格化させる様子が鮮明となっている。
2023年のインドネシアの新車販売台数は前年比4.2%減の100万5802台。そのうち、EVは同39.5%増の1万7057台。23年にEVを販売した14ブランドのうち、5ブランドは中国ブランドだった。インドネシアは政府方針として電動化を進めており、35年に自動車の生産台数400万台を目標に掲げるが、そのうち100万台はEVとする計画だ。政府のEV普及策に合わせて、中国メーカーがインドネシアに進出し、シェア拡大を目論んでいる。
GIIASでも、中国勢はEVをブースにずらりと並べた。今回は日本勢とほぼ同じ12ブランドが出展。比亜迪(BYD)は、インドネシアに投入したEVのMPV「M6」を披露し、哪吒汽車(NETA、ネタ)は、EV「NETA X」を投入すると発表した。若い世代の家族をターゲットに販売台数の拡大を狙う。インドネシア進出から7周年の上汽通用五菱汽車は「BinguoEV」や「CloudEV」などを展示。奇瑞汽車(チェリー)は、新エネルギー車(NEV)特化の新ブランド「iCAR(アイカー)」の第1弾モデルとなるEV「iCAR03」などを披露。広汽埃安新能源汽車(AION)も同ショーの開幕に合わせてSUVのEV「HYPTEC HT」と、セダンEV「ES」を発売した。
また、インドネシア政府はEV普及の一環として、部品の現地調達率が40%を上回るEVに対して付加価値税を優遇する措置を講じている。このため同ショーでは、車両とともに現地生産の方針を発表する中国メーカーが相次いだ。
中国勢がEVを展示する一方で、日本メーカーはEVに加え、ハイブリッド車(HV)も積極的に展示した。インドネシア政府がHVに対しても優遇政策を拡充することを検討しているためだ。EV販売が前年比で急増しているとはいえ、新車販売におけるEV比率は1.7%にとどまる。充電インフラが不要なHVでカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)に近づく考えだ。
ホンダは25年にインドネシアで発売予定のEV「e:N1(イーエヌワン)」を披露した。このほか、「ステップワゴン」のハイブリッド仕様も展示。インドネシアでは発売していないが、展示会でミニバン需要を探る狙いだ。日産は「セレナ」のeパワー、ダイハツ工業は小型SUV「ロッキー」のハイブリッド仕様を展示した。
トヨタは「ジャパンモビリティショー2023」で発表したコンセプトカー「FT―3e」のほか、バイオエタノールを燃料に活用できるMPV「キジャンイノーバHEV」を披露した。また、23年に発売した「プリウス」はHVに加え、プラグインハイブリッド仕様を展示。さらに燃料電池車(FCV)「ミライ」なども並べ、ユーザーに応じたパワートレインを提供できる体制をアピールした。
商用車メーカーでは、三菱ふそうトラック・バスが17日に小型EVトラック「eキャンター」を発売。GIIASでも展示した。