キュポラ(溶解炉)
マツダは27日、本社工場(広島県府中町)にあるキュポラ(溶解炉)の燃料をヤシ殻由来のバイオ成型炭に置き換える実証を実施した。広島周辺で取引先とバイオ成型炭の製造にも取り組んでおり、2030年度までに溶解炉のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)操業を目指す。
溶解炉は、石炭コークスと鉄スクラップからダンパーフォークなどの鋳造部品を製造するのに用いる。協力会社の分を合わせて3炉あり、現在は石炭コークスを年間で約1万4千㌧使う。二酸化炭素(CO2)排出量は年間で約1万㌧と、国内工場からの排出全体の約2%を占める。
脱炭素化には電炉にする手もあるが、設備投資のほか不純物対策、グリーン電力の確保といった課題があり、同社は既存の設備に代替燃料を用いる手法を模索。同日の実証では約1時間、バイオ成型炭を燃料として使用した。今後、稼働時間を伸ばすなどの取り組みを進めていく。
燃料の安定的な確保も欠かせない。マツダはバイオ成型炭の試作設備の導入を進め、今後、必要となる約5万4千㌧の量産を目指していく。燃料の〝地産地消〟にも取り組んでおり、昨年11月にはマツダ本社から出たコーヒーの豆がらを使ってバイオ成型炭を製造した。溶解炉の脱炭素化に向けたワーキンググループも立ち上げており、鋳造メーカーや日産自動車、豊田自動織機など31社が加盟する。
マツダは、35年に世界の自社工場で、50年にはサプライチェーン(調達網)全体でのカーボンニュートラルを実現する考えだ。